自分らしく、松山でイマを生きる人をインタビューするコンテンツ「マツイマ」。
ドラマー、イベントオーガナイザー、理学療法士と「マルチワーカー」として働く川崎さん。第1回目では音楽、ドラムとの出会いと理学療法士として働くまで、第2回目ではワーキングホリデーを利用し、カナダへ渡航。その後、ご実家の事業を手伝いながらもその仕事にやりがいを見出せず、葛藤をしながら別の形で家業に貢献する新たな仕事のスタイルを見出しました。第3回目では、現在の3つの職業とこれからについてお聞きしていきます。
川崎峰央
1984年八幡浜市生まれ。理学療法士/ドラマー/イベントオーガナイザー。理学療法士、ドラマーとして活躍する中、2011年よりイベントを企画し運営するオーガナイザーとしての活動を開始。3.11をきっかけに、ワーキングホリデーを利用しカナダに1年間滞在。帰国後、家業を手伝いつつ自分の働き方を模索しながら、現在のワークスタイルを構築。また、ドラマーとしてはソロ活動のみならず、2011年よりドラム2台とエレクトロニクスを組み合わせたスタイルで演奏する「cowbells」を高松市のライブハウス「TOONICE」のオーナーでドラーマーの井川晃徳氏と結成し、さらに活動の幅を広げている。
「集う場」を作る。「ハブ」としての自分の存在。
現在、川崎さんはオーガナイザーとしてイベントを企画するだけではなく、ハード面として「場」を作り、イベントやWSを行なっていますが、その経緯をお聞かせください
川崎さん:2017年ごろから実家のマンションの管理や修繕などを任されるようになり、マンションを絡めたイベントを行うようになっていました。
同時に、今までいろいろとイベントの企画をしてきて、管理しているマンションの一室にそういった「集う場」があるといいなと思っていました。そしてそれを形にしたのが「705」の空間です。この部屋はイベントやWSなどを中心に利用していて、希望者にはレンタルスペースとして貸し出しています。
また、その時リノベーションした2部屋の内覧会をしようと思いつき、この「705」と2部屋でイベントをしました。
このイベントでは、入れ替わり立ち替わり100名くらいの人が集まり盛り上がりました。
また、今までは音楽のイベントを企画していたのですが、別の切り口が欲しいという思いがあり、「食」や「学び」と絡めたWSを企画し始めました。
特に「知らなくても楽しい、知るともっと楽しい」シリーズのWSは、その時のテーマに詳しい人を講師として招き、そのテーマについてレクチャーをしてもらうといった趣旨なのですが、おかげさまで毎回好評を得ています。
これまで、20回以上県外のアーティストを招聘し、自身も出演するイベントを松山で開催してきました。
そこで知り合った方やWSに興味を持ってくれた方、マンションの住民の方やその友達が「705」でのWSにも来てくれて、「面白いことやっているね」とお声掛けいただいたり、他のイベントに来てくださったり、さらには入居に結びついたりと。
「705」を通して自分のしてきたことが繋がってきた気がします。
またイベントを介して、それまで知り合い同士ではなかった人と人が繋がることや、知らなかったお店やアーティストを知るきっかけになる、主催者である自分がハブになっていることにとても喜びを感じています。
とはいえ裏方に徹したい訳ではなくて、自分もドラムや作曲を通じて表現の場にいることがとても重要だし、強みであると思っています。
川崎さんを形成している3つの職業についてはどのようにお考えでしょうか?
まず、理学療法士は基盤です。経済的な心の拠り所というのでしょうか。何がなくなっても最後にはこれがある、という安心感があります。何かにチャレンジする時にも、これがあるから失敗しても大丈夫!といった精神的な安全地帯を確保しておくことは大切だと思います。
そして、ドラムはミュニケーションですね。ドラムで語り合うとか、セッションして演奏しあうとかではないのですが、自分を表現するツールが言葉以外にもあるというか。ワーホリの時にもドラムがあったから現地にたくさん友達ができたと思うし。関わる人やコミュニケーションの幅が広がるツールだと思います。
最後に、イベントを企画して「人が集う機会」を作り、結果としてはマンションを利用して「705」という「人が集う場」を作ったわけですが、これは人が喜んでくれるという意味で、自分的には社会貢献に近い要素があります。自分が催す企画でアーティストの紹介ができたり、お客さん同士が知り合ったり繋がったり、そういった部分に喜びとやりがいを感じています。
精力的に活動をされている川崎さんですが、これからの展望はありますか?
プロにはなりたいと思っています。
ドラマー、理学療法士、イベントオーガナイザーや賃貸物件の管理など、やる以上は自分の納得できる水準に達したいと思っています。それぞれの世界でNo1ではなくてもそれらを掛け合わせることでオリジナルとなる、自分だからできることを追求していきたいと思っています。
いろいろな場所に行って、いろいろな人に出会って、いろいろな価値観に触れてきました。夢中になれることは一つでなくてもいいし、自分にあった生き方を模索していけばいい、仕事も何個か持っているのもいいなって思っています。一つのことに夢中になってそれに集中しなくては、という価値観も理解できるのですが、一つがダメでも他がある。複数の職業を持つことは、ある意味ではリスクヘッジにもなるのではないでしょうか。唯一無二でなくてもいいように思います。
コメント
今までの日本の社会では、一個人につき一つの職業、一つの肩書きというものが主流でしたが、副業を認める大企業も増え、個人プレイヤーとして働く人が増えています。資格を持っていることで得られる安定とチャレンジの間で仕事をしている川崎さんの働き方は、ある意味理想的で、これからのスタンダードになってくるのかもしれませんね。
- Written by: Mai Hirose
- Date: 2020.05.14