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【松山のひと】谷口堅一郎さん② 点が線になり、線が絵を描く。全てのことを学びと捉え、 世界でひとつだけのジュエリーをつむぐ

  • CATEGORY: 松山のひと
  • DATE: 2020.06.18

自分らしく、松山でイマを生きる人をインタビューするコンテンツ「マツイマ」。

中の川通りに面するカスタムメイドのジュエリー店「here to stay」のオーナーでありジュエリーデザイナー兼職人である谷口さん。地元の福井県でジュエリー職人として腕を磨く中、運命の扉が開くかのように東京の会社でのジュエリー職人の求人をみつけます。上京し、東京で勝負すると決意した谷口さん。さて、どのようにジュエリー職人として成長していくのでしょうか。さっそくお話を伺ってみました。

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第3回目を読む方はこちら>

谷口 堅一郎

1975年福井県福井市生まれ。ジュエリーデザイナー兼クラフトマン。高校卒業後ミュージシャンを夢見て東京に上京するも夢破れて帰郷。福井市内のジュエリー工房に就職後、ジュエリー職人としての仕事に魅了され、再び東京で勝負することを決意。都内の大手ジュエリー会社に13年勤めた後、松山へ。この夏、デザインから製作まで一貫しておこなうカスタムメイドのジュエリーショップ「here to stay」を松山にオープンさせた。

東京での暮らし

ジュエリー職人の求人を見つけ、その場で面接のアポを取った谷口さん。それまでの暮らしとはどのように変わっていくのでしょうか。

谷口さん:求人雑誌を見て連絡したところ、「すぐに来てください」とのことで、面接が決まりました。面接にいくと「では実技試験を・・・」となり、聞いてないと思いながらもいざ作業に入ると「これはいける」と手応えを感じました。本来なら社長との面接があるらしいのですが、面接官だった方が大丈夫だろうということで一度の面接で入社が決まりました。

その後、勤めていたジュエリー工房の社長に辞める旨を伝えました。ものすごく怒られるだろうな・・・と緊張していたのですが、「いいじゃない」ってあっさりと承諾してもらいました。ただ、いざ行くとなった時には「いつでも戻って来ていいから」と言ってもらいました。

東京での暮らしはどうだったのでしょうか?

谷口さん:入社した途端、即戦力として働き始めました。福井の小さな工房では多くの工程をひとりでこなさなくてはならなかったのですが、大きな会社だと分業で、僕はワックスを使って「原型」を作る工程が得意だったので、その部分を担当していました。

この会社には13年勤務することになるのですが、その間に会社がどんどん大きくなっていったんです。初めは自由が丘に店舗があって、その2階が工房になっていたのですが、注文が多くなると別の場所に工房を作ろうということになりました。それと同時に、店舗も銀座や横浜など着々と増えていきました。

若い頃からの音楽好きは健在。会社のクリスマスパーティーではDJとして会場を盛り上げた。

人生で一番ツライ時

会社が大きくなることで谷口さんの働き方も変化していくのでしょうか?

谷口さん:会社自体が大きくなるともちろん受注量も増えて、新入社員や後輩が増えていきます。そうするとどうしても後輩の指導をしなければいけなくなりました。そして役職までついたのですが、役職がつくともちろんお給料も増えますが、ジュエリーを作ることが一切できなくなってしまったのです。

後輩がした仕事を検品したり、ダメだったらどこがダメなのかを目の前で実践しながら伝える。また、専門学校や美大を卒業した後輩がいたとしても仕事で実際に通用するレベルではないので、一から教えます。ジュエリーにもその時々に流行はあるのですが、石の高さはどのくらいが良いとか、もはや感覚の部分をどう伝えるか・・・ということにはかなり悩みましたね。自分の感覚を押し付けてしまう感じがして。僕は「原型」を作ることは得意だけれど、人に指導するのは向いていないかもしれないなと思いはじめていました。

その上、役職がついていると人の評価をしなくてはいけません。会社で決められた人事評価があるのですが、それがその人にどう当てはまるかなんて実際には分かりません。「この人のお給料は上がりました、別の人は下がりました」って自分がそんな風に決めてもいいものか・・・ということもあり、この時期はかなり悩みました。

この頃、さまざまなことが重り、精神的にどん底に落ちたこともあって、会社を休職することになってしまいます。

ただ、僕は何かあったらいつも音楽に助けてもらっているんです。若い頃は、それこそ音楽で食べていこうと思って上京しているくらいですから。好みは変わっても音楽が大好きで、「音楽だけは裏切らない」って信じているところがあります。この時も音楽にすごく助けてもらいました。

休職後はどうされるのでしょうか?

谷口さん:復職するのですが、そのときは全く別の部署への移動を上司にお願いしました。その部署というのが、CADを使いデータでデザインを描いて、機械を使って「原型」を作るところでした。機械が作った「原型」の検品を実際にしていたのは僕だったので、今まで自分が手でしてきたことが画面の中でもできれば、もっと精度の高いものができるんじゃないかと思い、一番下で教わりながらCADの技術を習得していきました。

しかし、結局は会社にいることが難しくなり、退職することになります。

☆13年勤めた会社を退職し、紆余曲折がありながらも松山で仕事をすることになる谷口さん。第3回目では松山への移住するに至った経緯や、お店を始めるにあたっての心意気などをお聞きしていきます。

 

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here to stay
愛媛県松山市湊町4-3-7 1F
TEL:089-909-7927
営業時間:10:00〜19:00
定休日:水曜
URL:http://www.heretostay.jp

(2020年6月1日現在)

  • Written by: Mai Hirose
  • Date: 2020.06.18